
INTERVIEW
医療機本部 技術統括部 技術部
設計Ⅰ課
2021年度 新卒入社
T.S.
学生時代は地元である石川県で手堅く働ければと考えており、最初から特定の分野に強い目標があったわけではありませんでした。当初は飲料のボトリング部門を希望していましたが、転機となったのは研修中の工場見学です。
透析装置の複雑な図面を前にした先輩から「一見すると何をしているか分からないこの小さな部品も、患者さんの安全を根底から守るために不可欠なんだ」と教わりました。その真摯な姿勢に触れ、私もこの環境で働きたいと直感しました。
現在は、次世代透析装置の要求仕様を満たすかの検証業務と並行し、部門初となる自動組立ロボットおよび部品排出装置の設計を任されています。透析装置は4時間以上連続稼働する機械であり、少しの不具合が命に関わるため、わずかなミスも許されません。患者さんの命に直結する医療インフラをいかに安定供給するか。先輩から受け継いだ視点を胸に、目の前の実機と向き合っています。

透析装置の製造は複雑な配管や極小部品が入り組んでおり、人の手による精緻な組み立てが前提です。その自動化は医療機部門全体を見渡しても前例がなく、ノウハウが一切ない中、3人のチームで手探りの開発が始まりました。
テスト機を動かすと、柔らかい医療用チューブを正確に掴めずに部品を落としたり、想定外の位置でアームが停止したりと、予期せぬエラーが頻発します。手詰まりになった私はPCから離れ、電気や制御の担当者のデスクへ足を運びました。「ここのセンサーが途中で止まるんですが、制御側から見てどう思いますか」。自分の専門外だからと立ち止まるわけにはいきません。
他部署の知見を一つひとつ繋ぎ合わせ、アームの速度や掴む力をミリ単位で調整し、プログラムの修正を繰り返す日々。ようやくロボットが極小部品を正確にピッキングした瞬間、胸に湧いたのは大げさな達成感ではなく、本当に実機が機能したという深い安堵でした。


海外からの引き合いが急増する中、製造現場の人員キャパシティは限界に近づいています。派遣社員も含めた現在の体制において、これ以上人の手を増やして透析装置の生産台数を確保していくことは、作業スペースの物理的な制約からも非常に難しい状況です。私たちがロボット化を進めているのは、この人手不足という構造的な課題を技術で解決し、社会への医療機供給ラインを絶対に途切れさせないためです。
さらに、自動化は医療機器に不可欠な「品質の均一化」にも直結。人の手による精緻な作業にはどうしても疲労や精度のブレが生じるリスクがありますが、ロボットによる正確な組み立てを実装することで、命に関わる機械の安全性をさらに高めることができるのです。
今は一部の工程を自動化した段階ですが、今後はこれまで人の手でしか不可能とされてきた複雑な組み立て領域へと踏み込んでいきます。高い壁にぶつかっても、社内の専門家たちと連携の輪を広げていけばどんな難題も必ず形にできる。一人で完璧にこなす必要はありません。自分が設計した自動化ラインが、決して止めてはならない医療インフラの安定稼働を底支えしていく。確かな手応えとともに、次なる検証を続けています。
