
INTERVIEW
技術管理本部 先端情報技術推進部
2023年度 新卒入社
A.I.
大学院で深層学習を用いた言語モデルを研究する中で、ずっと考えていたことがあります。「いくら綺麗なAIモデルを組んでも、そこに学習させる良質な実データがなければ、社会では役に立たないのではないか」。就職活動を進める中で、PCの中だけで完結し、実体のないデータを扱うITベンダーよりも、AIの効果をリアルな感触として感じ取れる仕事に強く惹かれました。
AIの精度を根底から決める一次データの源泉に自ら触れたい。そう考え、圧倒的な物理ハードウェアと稼働データを直接保有する澁谷工業を選びました。
現在は新設された先端情報技術推進部に所属し、AIを用いた機械の制御やクラウドインフラ構築の土台作りに取り組んでいます。数億円の巨大プラントが吐き出すリアルなデータを、どうAIと結びつけるか。そして、その生きたデータから、もっとより良い機械へと進化させるための道筋を、チームとともに探っています。

AI開発というとPCに向かうスマートな印象を持たれがちですが、私の毎日はもっと現場の機械のすぐそばにあります。私たちの仕事は、AIで何ができるかを語る前に、まずは機械のどこからどのような物理データを取得すべきかを探ることから始まります。
例えば、ペットボトルのキャップを締めるキャッパーの異常検知を進める際も、机上の空論では進みません。稼働する実機の前に立ち、トルク(回転の力)の数値を取得しようと提案すると、「現場の感覚だと、この瞬間の振動や音の変化の方が重要なんだよ」と指摘される。そうやって機械設計のプロたちと直接言葉を交わし、長年の経験で培われたアナログな感覚を、どうやってAIのデータとして落とし込むかを実直にすり合わせていきます。
ただ与えられた数値を分析するのではなく、現場の知見と掛け合わせながら、AIを活かすための生きたデータを自分たちで創り出していく。これこそが、ハードウェアメーカーでAIを扱う最大の面白さだと感じています。


現在取り組んでいるのは、現場の知見を適切に蓄積し、技術を循環させる仕組み作りです。私が外部のAIコミュニティなどで得た最新の要素技術は、定期的な社内勉強会を通じてメンバーに共有しています。これは単に最新のトレンドを追うためや、技術をアピールするためではありません。現場の技術者たちが長年培ってきたリアルな現場の感覚と、最新のAI技術を組織全体で掛け合わせ、これまでにない精度で機械を制御する強固な土台を作るためです。
私たちが構築するAI基盤の先には、お客さまのラインを絶対に止めないという澁谷工業の最大の使命があります。数億円規模の設備が少しでも停止すれば、それは社会への供給ラインが途絶えることを意味します。だからこそ、現場の生きたデータとAIを融合させることで、機械のわずかな異常や兆候を未然に防ぎ、大きなプラントを常に安定稼働させなければなりません。
自分が設計したデータの土台が、世界の生活インフラを根底で支えるシステムへと直結していく。その大きな責任と確かな手触りを胸に、今日も現場のプロたちとの対話を続けていきます。
