PROJECT STORY 04

トリプルブロック/シュリンクブロックシステム
「止まらないラベラ」

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「止まらないラベラ」

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プロジェクト概要

大手飲料メーカー、フジシール、澁谷工業の3社共同開発プロジェクトです。約5年半の歳月をかけ、充填部からラベラまでを直結させたシステムを構築しました。業界の常識を覆す「止まらないラベラ」を開発し、充填システムとドッキング(一体化)することで、大幅な省スペース化と省人化を実現した次世代アセプティックラインのプロジェクトストーリーとなります。

Member メンバー

今までの常識を覆す、未知なる領域への挑戦

顧客からの要望は、無菌環境の充填部からラベラまでをバッファー(貯留ゾーン)なしで直結させる「トリプルブロック/シュリンクブロックシステム」の開発でした。毎分830本(830BPM)という処理速度の中で、資材要因で停止しやすいラベラを組み込むという、前例のない要件でした。

  • Y.N.
    「単なる省スペース化やコスト削減の話ではありません。生産現場の人手不足が深刻化する中で、無人化・省人化を進める次世代アセプティック(無菌)ラインを構想する上では、この『機械同士の直結(ブロック化)』はどうしても逃げられない壁だったんです。しかし、アセプティックラインは一度止まると、復旧に莫大な時間をロスし、稼働率に多大な影響が生じます。絶対に止まらないラインを構築することが、我々に課せられた至上命題でした。」
  • K.K.
    「最初から求められる技術革新のハードルが非常に高く、プロジェクト初期の重圧は相当なものでしたね。特にアセプティックラインでの経験値やそれぞれの共同開発企業文化が異なる中で、NDA(秘密保持契約)を結び、機密レベルの高い技術情報を共有しながら進める必要がありました。どこまで踏み込んで議論できるか、探り探りのスタートだったのは間違いありません。」
  • S.S.
    「現場のメカ設計の視点からだと、そもそも『ラベラは資材やノリの要因で頻繁に止まるもの』というのが、我々メーカー側もお客様側も持っていた業界の共通認識です。だからこそ、間にバッファ(貯留ゾーン)を設けて停止時のリスクを吸収するのが当たり前だった。それをバッファーレスで直結すると聞いた時は、正直なところ『本当にやるのか? ラインとして成立するのか?』と耳を疑いましたし、非常に高い壁を感じました。」
  • S.S.
    「システム制御の観点から見てもレベルの高い要求でした。ラベラが止まれば稼働率の低下に直結しますからね。おまけに830BPMと(毎分830本に更新)いうハイスピードにて100台以上のサーボモーターを一切のタイムラグなく完全同期させなければならない。これまでは充填部とラベラ間に設置されているバッファにボトルを溜めることができ、ボトル導入においてシステム構築に余裕がありました。しかし、今回は直接ボトルが飛び込んでくる。制御側としても、どこから手をつけるべきか頭を抱えるほどの難易度でした。」

他企業との知見を持ち合わせて繰り返されたトライ&エラー

プロジェクト初期、フジシール社の設備を持ち込み、春から冬にかけて合同テストが実施されました。異なる企業文化が交わる中で、既存の仕様では要求を満たせないことが判明し、幾度もの設計変更とすり合わせが繰り返されました。

  • K.K.
    「あの合同テストの期間は本当に地道な作業の連続でしたね。お客様、他メーカー様、当社の3社共同開発であり、目標が『次世代高効率ライン』と非常に高水準に設定されていました。そのため、各社それぞれの立場や思いが存在し、初期段階では技術革新に対する認識のすり合わせに苦労しました。実際にフジシール様の設備を当社の工場に持ち込み、春から冬にかけて徹底的に検証を行ったのですが、目指すべき姿や課題について、細部に至るまで密に打ち合わせを重ねる必要があったんです。」
  • S.S.
    「結果的に、他社様のベース機を活かしつつも、ロールラベラのデザインにおいては、『止まらないラベラ』へメカを含めたシステムを根本から変更し、ほぼオリジナル機として作り直す決断をしています。メカ設計としては、止まることが前提の機械をバッファーレスで直結させるため、どこを変更すれば要求される『止まらないラベラ』を担保できるのか、日々手探りで設計検討を継続する非常にタフな期間となりました。」
  • S.S.
    「メカ側がデザインを根本から見直すということは、我々システム制御側もゼロベースでの構築を意味します。バッファーレス環境では、貯留で稼げる時間がなく、極端に短い距離の中でボトルが到着する。その前に完璧にコントロールされたコンベア制御を組まなければなりません。実稼働への現地試運転の際には、私たちも現場に張り付き、動きを見ながらプログラムを細かく修正していく。既存の制御の常識が通用しない中で、ひたすら検証を繰り返す日々でした。」
  • Y.O.
    「当時の私は若手で、正直なところ3社が関わるプロジェクトの規模感と要求水準の高さに圧倒されていました。しかし、他社の技術者の方々と細部まで妥協なく打ち合わせを重ね、仕様変更やテストに何度でも向き合っていく先輩たちの姿を間近で見ていたんです。これほど地道な作業の積み重ねがなければ、新しいシステムは生み出せないのだと痛感しました。ただ教えを乞う立場から、自分も一人のプロとしてこの壁を越えなければならないと、意識が大きく変わった期間でした。」

全員でゴールを目指す、横のつながりの強さがシブヤの真骨頂

実機設計フェーズへの移行に伴い、社内の別部署から数十名のメンバーがプロジェクトに合流。新規要素が多岐にわたる複雑な要件に対し、部署横断でのスクラム体制が構築されていきました。

  • K.K.
    「実機設計が始まり、いざ数十人が合流するとなった時、私はかなり警戒していたんです。これだけ新規要素の塊のような、リスクの高いシステム構成図を見せたら、各部署の現場から『こんなの実現できるわけがない』『責任が持てない』と強い反発が起きるのではないかと危惧していました。プロジェクトリーダーとして、その反発をどう抑え込み、納得させるかを考えていたんです。」
  • S.S.
    「でも、フタを開けてみたら逆でしたね。合流してきた各部門のプロたちは、システム構想図とハイレベルなシステム要件を見た瞬間に顔つきが変わったんです。文句を言うどころか、『なるほど、ここはこう組めばいける』『この制御ならうちの技術が使える』と即座に手が動いていました。あの姿勢には驚かされましたし、これほど心強い仲間はいないと、鳥肌が立つような思いでしたよ。」
  • Y.O.
    「あの時の現場の空気感は凄まじかったです。普段は関わりの薄い部署の壁などは一切なくて、数十人の技術者が『どうすればこの常識外れの要件をクリアできるか』という一点だけで繋がっている。誰も『自分の担当外だ』なんて素振りを見せることない雰囲気に、私自身も『ただの若手として傍観者でいる場合じゃない』と、完全に当事者としてのスイッチが入りました。必死で先輩たちに食らいついていきましたね。」
  • Y.N.
    「そこなんですよ。個別の技術的なブレイクスルーももちろん重要ですが、この『境界を越えて繋がるチームの力』こそが、最大の突破口でした。要求が難解であればあるほど、部署間の壁が消えて一つの生き物のように動く。さらに言えば、社内だけでなくパートナー企業ともその熱量を共有できた。この横のつながりの強さのようなスクラム体制こそが、当社の真骨頂であり、最強の武器だと改めて証明された瞬間でした。」

「止まらないインフラ」が切り拓く新しい未来

約5年半の開発期間を経て「止まらないラベラ」を組み込んだシステムが稼働を開始しました。従来比で20〜30%の省スペース化と、数年前の15人体制のオペレーションから3人相当への大幅な省人化を実現しています。

  • K.K.
    「3社共同という、企業文化も立場も違う過酷な座組で、5年半もの歳月をかけてやり切れたことは本当に大きいです。このプロジェクトを通じて、これから先どんなに前例のない難題が突きつけられたとしても、パートナー企業や社内の仲間と実直に向き合い続ければ絶対に形にできるという、我々にとって揺るぎない強固な自信になりましたね。」
  • S.S.
    「バッファーレスの厳しい条件のもと、100台以上のモーターを完璧に同期させた制御技術と経験は、間違いなく今後の我々の強力な基盤になります。お客さまからはさらに高度な省人化や新しいテクノロジーの要望が寄せられていますが、今回培った技術を応用していけば、さらなるラインの完全自動化や高効率化を実現していく明確なビジョンはすでに見えています。」
  • Y.O.
    「先輩たちが『業界の常識』に限界を設けず、検証を繰り返しながら壁を突破していくプロセスを最前線で体験できたのは、私にとって何にも代えがたい最大の財産になりました。このプロジェクトで学んだ技術とマインドを胸に、今後は私自身が中心となって、次世代のさらなる技術の壁に真っ向から挑んでいきたいと強く決意しています。」
  • Y.N.
    「“ラベラは止めるもの”という業界の常識を、我々は5年半かけて“止まらないもの”へと進化させました。これは単なる一製品の開発成功ではありません。深刻な人手不足という社会課題に対し、今後の供給インフラの『次世代無人化・省人化』を牽引していくための、当社の揺るぎない技術資産と組織のDNAになったと確信しています。」