未開の電磁波が未来を切り開く

[ シブヤが挑む新たな領域 ]

ボトリング機械を中心に、農機や品質管理に使用するエックス線検査機、画像検査機などの開発、製造を手掛けてきたシブヤ。
取引先企業から「従来のやり方では見つからなかった差異を見つけるシステムを開発してほしい。」
と言われたのがきっかけで、シブヤは新たな挑戦を試みた。
これまで未開の電磁波域だった「テラヘルツ波」の研究に着手した。
ある大学の研究室と共同研究を続け、これまで自社で培った技術を駆使し、テラヘルツ波発生装置の開発に成功。そこからこのテラヘルツ波を本格的に事業化した。

開発部門の部長としてこのテラヘルツ波研究の指揮を執る佐々木はこう語る。
「発足時は2名しかいなかったこの部門も、今では6人のチームとなり、日夜研究を進めています。
大学の研究室と相違ない環境で研究をしていますが、それが製品となり世に送り出されるのを
見届けられるのは、シブヤならではのことなので、とても面白いですね。」

そんな佐々木と共に研究開発に励む小川は、レーザー研究を経てこの新たな電磁波の研究にやってきた。
「大学時代は工学部で、レーザー研究に打ち込んでいました。
科学の力で世界に貢献したい、そんな仕事ができる環境に行きたい、という思いで
就職活動をしていた時、シブヤに出会いました。
電気技術社員でしたが、開発部に異動になり、テラヘルツ波の開発研究は2年目になります。
レーザーで培った技術や知識はテラヘルツ波の研究とリンクするものがたくさんあります。」

[ テラヘルツ波が描く未来 ]

電波と光の境界領域であるテラヘルツ波は、これまで誰も切り拓いてこなかった未知の領域。
この領域を利用した製品はまだ生まれていない。
なぜなら、このテラヘルツ波の開発はまだ始まって日が浅く、国内ではシブヤ以外にもう1社、
海外でも数社しか研究、開発を進めていない。
そしてこのテラヘルツ波を産業用に開発を進めているのはシブヤが初めて。
今後、この領域を新しく開拓していくことにより、当社が業界のパイオニア、
ひいては今後分野を牽引していくポジションとなる可能性も大いにあるからこそ、
シブヤはこのテラヘルツ波の研究により一層の熱を込めている。

佐々木が以前、この開発について経営トップから言われたことがあった。
「物品検査や品質管理のために導入するテラヘルツ波発生装置の開発が、
ゆくゆくは当社の再生医療システムの生産した細胞の評価や試験に使えるようにしてほしい。」
これがシブヤの描くテラヘルツ波の未来です。

[ 誰も知らない領域の研究は、それぞれの個性がカギを握る ]

「開発部門は個性の塊。今年の新入社員は大学時代、トマトの研究をしていたそうなんです。」
佐々木のこの言葉に、開発部門のポテンシャルが見えた気がする。
「トマトの品質テスト装置にテラヘルツ波を用いていたそうで、彼はそこからテラヘルツ波研究に
興味を持ち、当社の説明会で見つけた『テラヘルツ波』の6文字だけで入社を決めたそうです。
理学博士を取得し、大学時代はダークマターの研究を行っていた社員もいて、ここに来るまで
実験に携わった経験は皆無。なので未だに実験を行うときは正直心配な場面もありますが、
ロジックは完璧ですので、彼の実験がその結果にたどり着いた理由が分からない、ということはまずないです。」
「扱っているもの自体がまだ世に出ていないものなので、とにかくやってみないと始まりません。
理論上はこの結果になるけど、いざ実験したら全く違うなんてことはよくある話です。
なので、開発スケジュールはしっかり立てますが、失敗することを前提に決めています。
失敗を恐れていたら、新しいものは生まれませんからね。」

シブヤが取り組む未知なる領域の開発。それを可能にするのは、社員が臆することなく挑戦できる環境があることだと思う。